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弁護士とんぐうの弁論準備

裁判例のメモとか。

林間学校中に小5生徒が宿泊施設で転落したのは引率教員に過失があるとされた事例

【大阪地裁平成24年11月7日判決】

 判例タイムズ1388号掲載

 

【事案の概要】

 被告東大阪市が主催する林間学舎に参加していた小学校5年生の女子児童Xが、民宿の2階の部屋内で、他の児童らと鬼ごっこをして遊んでいたときに、部屋の出窓のカウンター部分に上がり、そのまま後方にもたれようとして窓ガラスの方に体を傾けたところ、窓ガラスが空いており、そのまま出窓から建物外の地面に転落し、脳挫傷等の傷害を負った。

 

【判決要旨】

 林間学舎のように、子供らが親権者の監護状況を離れて、日常生活における状況と比較して、相対的に少ない教員らにより、日常生活と異なる生活空間で、友人らと宿泊するような場合には、子供らの監護が、日常生活の場合と比べて手薄になる反面、子供らが非日常的な体験をすることで、通常であればしないような行動に出る蓋然性が高いのであるから、教員らは、具体的に予見可能な危険性について告げるなどして危険な行為をしないよう指導すべき注意義務を負っている。

 本件において、出窓のカウンター部分に子供が上がることなどは容易に予見できたというべきである。したがって、教員らは子供らに対して、本件出窓のカウンター部分に登った場合、誤って転落する危険性があることについて十分に指導をした上で、ガラス窓を開放しないよう指示したり、カウンター部分に上がらないよう注意喚起したりすべきであった。

 もっとも過失相殺として4割を控除する。

 

【解説】

 教員は、小5ともなれば言わなくても危険性は分かるはずであると判断し、カウンターに上がってはいけないとは言わなかったようです。ですよねえ。

 ちなみに市側は、当該宿泊施設の客は半分は学校関係児童だが、これまで40年間一度も転落事故など起きていない、と主張しています。ま、これまで起きてなくても危険性はずっとあった、と言われればそれまでなんですよね。

 具体的に予見可能な生命身体への危険性は具体的にいちいち注意しなければならないというのは結構大変なんじゃないでしょうか。児童の判断力や想像力の成長を促すという観点からはどうかと思わないでもないですが、国家賠償の世界ではそうした父の子育て的な態度は通らないのです。

 まあ、小学生が親や教師の監視が緩い中で寝泊まりする2階の部屋の窓に、手すりや防護柵ついていないという状況は確かに安全とは言い難いでしょうから、結論自体不当だとは感じません。過失相殺は5割くらいが妥当だと思いますが。