八百長力士を解雇したことが有効であるとされた事例
【東京地裁平成24年5月24日判決】
判例タイムズ1393号掲載
【事案の概要】
故意による無気力相撲を行った力士に対し、相撲協会が解雇したところ、当該力士が解雇無効を主張した事案。
【判決要旨】
請求棄却。
原告力士が無気力相撲を行ったことは十分認定できる。
無気力相撲は相撲協会にとって存立基盤に影響を与えるものであって、継続的な契約関係である本件役務提供契約の維持を困難にするものである。
原告は、過去にこうした無気力相撲を行った力士は相当数いるにも関わらず処分されていないのであるから、黙認していたと主張するが、相応の証拠が必要なことであり、これまで結果的に見逃されたとしても本件処分が違法であると評価することはできない。
したがって、被告が原告を解雇したことは不相当であるとは言えない。
【解説】
例の大相撲八百長事件で解雇された力士が解雇無効を主張した事件ですね。
原告側は雇用契約が成立していることも主張しましたが、裁判所はこれを否定。力士が労働契約法の適用を受けるかは、判断が分かれているところです。本件では、労働者であることを前提としても同じ結論となった可能性は高いと思われますが。
なお、解雇された力士は月給103万6000円だった模様。
ちなみに判決には、力士の処遇について詳細に書かれていて結構面白い。新弟子は相撲教習所に行き、幕下以下は月額7万円の養成費が師匠に支給されるようです。ちなみに、弟子が十枚以上に昇進すると、師匠に対して要請奨励金が支払われ、横綱を育てた師匠には(毎月?)30万円が支給される模様。
力士の給与は、横綱が282万円、大関234万7000円、三役169万3000円、幕内130万9000円、十枚目103万6000円だそうです。
これは判例の解説ではないですねえ。