読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

弁護士とんぐうの弁論準備

裁判例のメモとか。

土地の使用借権の時効取得が認められた事例

東京高裁平成25年9月27日判決】

 判例タイムズ1393号掲載

 

【事案の概要】

 AとBは兄弟である。Aは昭和32年に本件建物を、Bは昭和43年にその敷地である本件土地を取得した。

 Aは平成5年に死亡してYが相続し、Bは平成7年に死亡してXらが相続した。この間、AはBに対して賃料を支払っていないし、BもAに対して明渡しを求めた様子はない。

 平成22年になって、XらはYを被告として本件建物収去土地明渡しを求めた。Yは土地の所有権の時効取得、地上権取得又は時効取得、使用借権の取得又は時効取得、請求の権利濫用等の抗弁を提出した。

 原審ではXらの請求を認容したがこれを不服としてYが控訴した事案。

 

【判決要旨】

 昭和43年にBが本件土地所有権を得た当時、AB間に使用貸借契約が成立したことが認められる。この契約は平成5年にAが死亡したことにより終了したが、このような法律の定めを知らないYは、Aの権利義務を相続により取得したことから、使用借権もそのまま承継したものと考えて本件土地の占有を開始し、Bもまた、Yに対して明渡しや賃料の支払を求めることなく、Xらも平成22年まで同様の態度であった。

 そうすると、YはAの死亡時に同人による従前の使用収益の形態を変えることなく本件土地の使用収益を開始し、以後本件土地の使用収益を継続してきたものである。したがって、Yについては、同日以降、使用借権者と同等の仕様収益が外形上事実として存在し、かつ、その仕様収益は本件土地の借主としての権利行使の意思に基づくものであると認められ、Yはこの状況の中で本件土地について敷地の使用借権があるものと信じ、そう信じることに特段の過失が無く占有を開始し、本件建物の敷地である本件土地を使用借人として10年間占有を継続して着物であるから、これによって、本件土地の使用借権を時効取得したものと認めるのが相当である。

 

【解説】

 使用借権の時効取得が争点となった事例は相当するあるが、これまでの判例では、土地の使用借権の時効取得の成立を否定してきた(大阪高判平成20年8月29日など)。もっとも、最判昭48年4月13日は、土地についても使用借権の時効取得が成立しうること自体は、①継続的な使用収益という外形的事実、②その仕様収益が借主としての権利行使の意思に基づくものであることが客観的に表現されていること、の2点を満たせば肯定されるとしている。本裁判例は要件を満たして実際に使用借権の時効取得が成立したレアケースである。