弁護士とんぐうの弁論準備

裁判例のメモとか。

女子生徒との交際を理由とする県立高校教師に対する免職処分が取り消された事例

高知地裁平成24年12月7日判決】

 判例タイムズ1394号掲載

 

【事案の概要】

 原告は高校教師であるが、女子生徒と合意の上で交際を開始し、複数回自宅に宿泊させ、他の生徒の個人情報を漏らしたり、上司から関係を問われた際に虚偽説明をしたなどのことから、免職処分を受けたため、取消を求めた事案。

 

【判決要旨】

(1)生徒を夜間から明け方にかけて自宅に滞在させ、極めて不適切である(高知県青少年保護育成条例違反。なお証拠上性行為の有無は明らかではないがそのような行為があった可能性を疑わせる状況を作出したことだけでも十分非難に値する。)。

   その後、原告と関係のこじれた女生徒は授業を欠席するようになり、最終的には退学に至っている。原告には教員としての自覚、自律心、健全な規範意識が欠けていると言わざるを得ない。

(2)原告は、ある生徒が母親の内縁の夫から性的虐待を受けていることや別の生徒の家庭環境及びその家庭が生活保護を不正受給していることなどを、当該生徒が特定できる形で交際していた女生徒に漏洩した。

(3)校長や教頭から、女生徒が欠席している理由について尋ねられ、さらに真実を話すよう問い詰められたにもかかわらず、証拠を突きつけられるまで交際を認めなかったこと、これらの件について女生徒に、口裏合わせの指示を重ね、脅すようにして授業への出席を求めるメールを送信した。自らの問題行動を隠す欺瞞的行動であり、職務命令違反にも類する上、保身のため女生徒を窮地に追い込みかねないメールを送信している。

 (4)原告について、簡単に矯正することのできない持続性を有する素質等に起因して職務の円滑な遂行に支障があるなどと判断することは、その後の適切な指導や本人の反省に基づき、原告が以後同様の問題行動を行わない可能性等を不当に軽視するものであって、短絡的に過ぎる。したがって、裁量権の行使を誤った違法な処分であるから取り消す。

 

【解説】

 概要を斜め読みした時点では、女子高生とつきあったくらいで首にせんでもええやろ、と思ったが、結構あかんやつでしたね。とはいえ、ばれた後の見苦しさも、この程度のしょうもない男はそのへんにいくらでもいるのであって、しょうもないから首にするということはまあできませんわな。