弁護士とんぐうの弁論準備

裁判例のメモとか。

「シャンパンタワー」という商標は認められなかった事例

知財高裁平成24年12月19日判決】

 判例タイムズ1395号掲載

 

【事案の概要】

 原告は「シャンパンタワー」という商標を登録した者であるが、同商標登録について特許庁が無効審決をしたため、その取消を求めた事案である。

 

【判決要旨】

 請求棄却。

 「シャンパンタワー」のうち「シャンパン」はフランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性葡萄酒を意味する名称である。シャンパンは、発泡性葡萄酒を代表するほど著名であり、一般消費者にも、シャンパンと言えばフランスのシャンパンのことを意味するものとして知られている。

 シャンパンの周知著名制や信頼性を確保するため、ぶどう生産者やぶどう酒製造者を厳格に管理・統制し、厳格な品質管理・品質統制がなされてきており、シャンパンはフランスの文化的所産とも言うべきものになっている。我が国でも、シャンパンという表示には高い顧客吸引力が化体するに至っている。

 以上のような、本件商標の文字の構成、指定役務の内容、商標中の「シャンパン」の表示の有する意義等に照らせば、本件商標を飲食物に関連する指定役務に使用することは国際信義に反するものと言わざるを得ない。

 

【解説】

 宝石の名前としての「シャンパンサファイア」、ウーロン茶として「シャンパン烏龍」、貴金属として「シャンパンシルバー」、被服として「シャンパンアイボリ」、などいろいろな「シャンパン」がつく商標が無効になっているようです。どれも本件同様、「シャンパーニュ地方ぶどう酒生産同業委員会」が無効の申立をしているようですな。