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弁護士とんぐうの弁論準備

裁判例のメモとか。

ジェイコム株式誤発注事件(控訴審)

東京高裁平成25年7月24日判決】

 判例タイムズ1394号掲載

 

【事案の概要】

 みずほ証券が、61万円で1株発注しようとして誤って1円で61万株発注した。その後取消注文をしたが、東京証券取引所のシステム不具合により処理されず、東証が売買停止措置等も取らなかったため、みずほ証券が反対注文をして事態が収束するまでの約10分間で400億円の損害が発生した。

 そこで証券会社が東証に対し、、(1)注文の取り消し処理をするべき義務を怠った、(2)売買停止措置をする義務を怠ったなどとして損害賠償請求を行った事件。

 なお証券取引については「当取引所は、取引参加者が業務上当取引所の市場の施設の利用に関して損害を受けることがあっても、当取引所に故意又は重過失が認められる場合を除き、これを賠償する責めに任じない。」と定められている。

 

【判決要旨】

 売買システムにバグが存在し、取消処理が実現されないという不具合が発生したことは、適切なシステムの提供義務を怠ったものと認められる。東証は、ベンダーとして定評のある富士通を選定したと主張するが着責事由がないとの結論にはいたらない。

 免責規定の存在には一定の合理性が認められるが、全面的な免責を認めると、施設側に故意又は重過失がある場合にも免責が受けられる結果を生じ、当事者の公平を著しく害するのであり、有効性に疑義が生じる(最判平成14年9月11日判決参照)。

 売買システムのバグの発見・修正は容易であったとまでは言えず、東証がシステムの不具合を看過した点を重過失と評価することはできない。

 しかし、注文の異常性は顕著であり、注文後、市場が異常な状態になっているにも関わらず、東証は公益及び投資者保護を図るために付与された売買停止権限を行使しなかった。したがって、故意に近い著しい注意欠如の状態と評価しうる。

 損害額は150億円と算定し、みずほ証券側について3割の過失相殺をするのが適当である。

【解説】