弁護士とんぐうの弁論準備

裁判例のメモとか。

2013-01-01から1年間の記事一覧

不起訴にした少年事件を成人後に公訴提起した事件

【最高裁平成25年6月18日判決】 判例タイムズ1392号掲載 【事案の概要】 16歳の少年Aが、少年Bを乗せて原付を飲酒運転していたが、歩道縁石に接触した際に少年Bが路上に落ちて高次脳機能障害の後遺症を伴う傷害を負わせた事件において、被害者…

電子ブレーカ事件

【大阪地裁平成24年9月13日判決】 判例タイムズ1392号掲載 【事案の概要】 電気用品安全法所定の検査を受けていないにも関わらず、PSE表示をして電子ブレーカを販売するY社に対し、品質等の誤認惹起行為にあたるとして、競合メーカーのX社が販…

柔道の練習中の事故について顧問に過失が認められなかった事例

【横浜地裁平成25年2月15日判決】 判例タイムズ1390号掲載 【事案の概要】 柔道部在籍の原告が、試合前の練習において部員に投げられた際、急性硬膜下血腫を発症し、寝たきり状態となる事故が発生した。 原告は17日前の練習で脳しんとうを起こし…

免責を得るためだけの破産申立が許容された例

【東京高裁平成25年3月19日決定】 判例タイムズ1390号掲載 【事案の概要】 過去に破産手続を申立てたが、その際には免責許可申立をしなかったため免責を受けられなかった破産者が、債権者から執拗に督促され、動産執行まで受けたため、再度破産申立…

やりすぎた弁護士の例?

【東京地裁平成24年7月9日判決】 判例タイムズ1389号掲載 【事案の概要】 交通事故で死亡した被害者の相続人らの代理人弁護士が、被害者の死亡は医療過誤による部分もあるとして、医療機関に対しても損害賠償を請求し、示談を成立させ、ついで病院か…

耐震強度不足を見逃した指定確認検査機関に対する損害賠償請求は認められたが、地方公共団体に対する請求は認められなかった事例

【横浜地裁平成24年1月31日判決】 判例タイムズ1389号掲載 【事案の概要】 株式会社ヒューザーが分譲したマンションを購入した原告らが、マンションには耐震強度不足の瑕疵があるとして、建築確認を行った指定確認検査機関及び横浜市、設計を行った…

林間学校中に小5生徒が宿泊施設で転落したのは引率教員に過失があるとされた事例

【大阪地裁平成24年11月7日判決】 判例タイムズ1388号掲載 【事案の概要】 被告東大阪市が主催する林間学舎に参加していた小学校5年生の女子児童Xが、民宿の2階の部屋内で、他の児童らと鬼ごっこをして遊んでいたときに、部屋の出窓のカウンター…

預金口座についての弁護士会照会に対する報告義務が認められた事例

【東京地裁平成24年11月26日判決】 判例タイムズ1388号掲載 【事案の概要】 Xは、Aに対する債務名義を有しており、これについてAの銀行預金に対して差押をしたが、残高がなく、その他把握できたAの財産すべてについて各種強制執行を行ったがい…

自転車事故を起こした未成年とその保護者の責任

【大阪高裁平成23年8月26日判決】 判例タイムズ1387号掲載 【事案の概要】 自宅付近の路上に立っていた85歳のXが、14歳のYが運転する自転車に衝突され、後遺障害を負ったとして、Y及びその両親に損害賠償を求めた事案。1審では両親の責任が…

弁護士会の役員として参加した懇親会費用を経費として算入できるか

【東京高裁平成24年9月19日判決】 判例タイムズ1387号掲載 【事案の概要】 Xは、弁護士業を営んで事業所得を得ているものであるが、弁護士会や日弁連の役員等も務めていた。Xはこれら弁護士会等の行事に伴う懇親会に出席し、その際に飲食費等を支…

久々の更新

ちょいと本業が忙しく、判例タイムズを読む余裕がありませなんだ。久々の更新です。

他人の犬の死を悼む

はてなサービスのマスコット犬、通称「会長」ことしなもん氏が亡くなったそうだ。 わたし自身、しなもんブログの愛読者でもあったし、実家で飼っているコーギーも高齢化していることもあり、まるで愛犬の死のプレ体験のようだった。お悔やみを申し上げたい。

差押債権の特定

【最高裁平成24年7月24日判決】 平成24年度重要判例解説掲載 【事案の概要】 差し押さえるべき債権の範囲として、普通預金債権のうち差押命令送達時に存在する預金と同日を含む1年が経過するまでに受け入れた金員によって構成される部分、とする差し…

ケンコーコム判決

【最高裁平成25年1月11日判決】 判例タイムズ1386号掲載 【事案の概要】 厚労省は、薬事法を改正する法案を作成し、平成18年3月に内閣から国会に提出された。同法案の作成にあたっては、検討部会において、対面販売を原則とすることなどを基本方…

債務名義があっても仮差押できるとした事例

【東京高裁平成24年11月29日決定】 判例タイムズ1386号掲載 【事案の概要】 XはAの破産管財人であるが、AはYに対し金銭債権を有しており、これについて執行認諾文言付き公正証書を作成していた。そこでXがYに対し、債権執行を行うべく、Yの…

連帯保証契約が銀行担当者の虚偽を含む説明によりなされたものであり無効とされた事案

【東京高裁平成24年5月24日】 判例タイムズ1385号掲載 【事案の概要】 Aは、B銀行から4.5億円の借り入れをして、商業ビルを購入した。このとき、Aの兄である控訴人は、Aの借入金のうち2.5億円について連帯保証した。 この連帯保証契約の…

公務員による政治的文書配布が有罪と認められなかった事例

【最高裁平成24年12月7日】 判例タイムズ1385号掲載 【事案の概要】 厚生労働省職員である被告人が、衆議院選挙に際し、支持政党のため、同党の機関紙や政治的目的を有する文書を、数十箇所の郵便ポスト等に配布したことから、国家公務員法違反で起…

子の引渡につき必要性を厳格に解した事例

【東京高裁平成24年10月18日】 判例タイムズ1383号掲載 【事案の概要】 当事者らは、平成19年ころから婚姻し、翌年長男をもうけ、マイホームも築いた夫婦であったが、妻が署名押印した離婚届を置いて、長男を連れて実家に戻った。 2か月後、夫…

児童ポルノ画像へのリンクURL掲示行為が公然陳列にあたるとの判断が維持された事例

【最高裁平成24年7月9日】 判例タイムス1383号掲載 【事案の概要】 被告人は、自身が運営していたウェブサイトに、第三者が設置したハードディスクに記憶された(他のインターネット上の掲示板に貼り付けられていた)児童ポルノ画像へのURLを貼り…

権利能力なき社団が「消費者」に該当すると判断された事例

【東京地裁平成23年11月17日判決】 判例タイムス1380号搭載 【事案の概要】 大学のラグビークラブチームが、合宿のため宿泊予約をしていたが、チーム員の一部が新型インフルエンザに罹患したため、宿泊前日に予約を取り消したところ、宿から取消料…